通訳案内士法の改正!資格不要で外国の人をガイドできるようになりました!

観光案内
当サイトでは記事内にプロモーション広告を利用しています

有償の観光ガイドというと、国家資格を保有していたり、旅行会社に所属していたりと、個人が無資格で自由にできるものではありませんでした。
無資格で行った場合には50万円以下の罰金が定められていました。

ですが、それは2017年までのことです。

現在、観光案内は誰でも有償でできるようになりました。
2018年に法律が改正されたためです。

ここでは、その法律の改正にいたった背景についてお伝えしていきたいと思います。



通訳案内士法の改正

2018年1月4日に改正通訳案内士法が施行されました。
このことにより、これまでは通訳案内士の国家資格を持った人しか携わることのできなかった観光ガイドが、無資格の人でもできるようになりました。

無資格でもボランティアとしてではなく、“有償の観光ガイド”としてで誰でも案内ができるようになったのです。

これはかなり大きな変化です。

実は自身も通訳内士の資格を以前取りたいなと思っていたことがあったのですが、というかさ~これから勉強するぞといろいろ本まで購入していたのですが、なかなか狭き門だったのですね。
英語に関しては英検1級を取得しているかTOEIC840点以上のスコアでテストが免除。
つまり、最低限どちらかをパスできる程度の英語力は持っていないとテストには合格できないということです。
プラス日本の地理や歴史に関するテストにも合格しなければなりません。
2017年の合格率は15.6%です。
10人受けて8人以上不合格となっているのです。

ですがこれに合格しないと有償では海外の方を案内することができないんですね。

ただ、実はツアーガイドのようにいろいろな場所を何人もつれて案内することは禁止されていても、スポットやそこだけの体験などのサービスに関しては明確な禁止はされていませんでした。
例えば、お茶や伝統工芸などの体験だけを一緒にして、その仲介費としてお金をもらうということは明確に禁止はされていませんでした。

実際資格がなくても、そのようなサービスを提供している会社もあり、事実無資格の人でも登録し、スポットや体験だけでしたら案内することができました。

ですが個人的に、一体どこまでが有償でオーケーでどこからが無料でなくてはならないのか、そのラインがあいまいだったので、数年前に一度国土交通省観光局に直接問い合わせてみたのですね。
そこで、今(2015年頃)はツアーガイドとしては有償の国家資格を持った人でなくては案内できないけれど、同時にその緩和に向けて動いているという内容もおうかがいすることができました。

そこで自身は、恐らくもう近いうち、2020年のオリンピック前までには通訳案内士の資格はなくても観光案内ができるようになるだろうとほぼ確信するにいたりました。

無資格でも案内ができるようになった理由

ですが、なぜそもそも規制緩和されたのかというと、一番の理由はガイドの数が足りていなかったということです。
実は2017年の段階で通訳案内士として登録している人の数は22000人います。

意外にかなり多い!!!

正直思っていたよりかなり多いというのが個人的な印象です。

それでも訪日する人達の需要に応えきれていないというのが現状たったのです。

まず、第一に通訳案内士に合格しても、その資格を実際の場で使って活躍している人が少ないという理由があります。
半数以上の有資格者が年間の稼働日数が30日以下という現実があります。
その約半数が年収200万円以下と言われています。
このことから、実際に通訳案内士としてフルに資格とスキルを活かして食べていけるのは一握りの人達だけであるということが分かります。

また、通訳案内士というと、英語を使ってバリバリ街を案内してというイメージがあるかもしれません。
ですが、日本政府観光局(JNTO)によって発表されたデータでは、2017年の訪日観光客の約4分の3は東アジアからです。
一番多いのが韓国、その次に中国台湾香港という順になっています。

日本政府観光局(JNTO)訪日外国人データ
引用元:日本政府観光局(JNTO)訪日外国人データ

1位:韓国(7140165人)
2位:中国(7355818人)
3位:台湾(4564053人)
4位:香港(2231568人)

つまり、英語以上に韓国語や中国語等、他の言語を話すことのできる人の需要が圧倒的に足りていないのです。
タイやインド、インドネシアから来る人の割合も欧米より多いのですが、これらの国の言葉を話すことができる通訳案内士の数が圧倒的に不足しています。

また、通訳案内士の75%が東京や大阪等、都市部に集中しています。
地方では人がまだまだ足りていないのです。

増え続ける需要に対して供給が足りていないのが現状です。
ですが規制を緩和することで一般の人がこの対応しきれない需要に応えることができます。
今まで資格が規制となって観光案内に関わることのできなかった人達が、そのニーズに応えていくことが可能となるのです。

無資格のメリットとデメリット

無資格となると、今まで必死で勉強して資格を取ってきた人から反発もあるかと思います。
というか自分が資格保有者だったら、正直“あの苦労が・・。”となると思います。

ですが、確かに“個”で考えたらデメリットのように感じるかもしれませんが、“他”を中心に考えたらメリットの方が大きいです。
やはり、需要があるけれど、それを満たせていないというのは、困っている人をそのまま放置してしまうことにもなるからです。

それ以外にも、在日外国人が日本国内で行っている違法な案内業を防止することにもつながります。
訪日した同国出身の裕福層等にターゲットを定め、自分に利益をもたらすお店、自分にマージンをもたらす特定のお店だけを案内する無資格の外国人の案内者は実際います。
無資格で旅行会社のツアーを請け負い、バスの中で物品販売をしたり、オプション料金で別途ツアーを販売することもあります。

そこに誰でもが入れるようになれば、違法で案内している人より現地の日本人、もしくは日本人で中国語を話せる人に接する機会、選ぶ機会も増やすことができ、違法な案内者の活動を狭めることにつながります。
と言っても、これで違法なガイドがいなくなるかというと、それはまた別途対策が必要となりますが。

また、個人的には無資格ができたということは、むしろ資格を持っているからこそ提供できるサービスがある、質があるということの証明にもなると思います。
無資格者ではできないような高品質のガイドを提供することで、より高い報酬を得る機会につなげられるということです。

無資格の唯一の懸念は、誰でもできるということは間違った案内や質の低いサービスが広がったりしてしまう、悪用する人がでてくる可能性もあるという点です。
やはり資格を取れた人は英語力だけでなく、地理や歴史など、日本の案内に関しても一定以上の知識を保持しているので、無資格者に比べて訪日客に満足のいくサービスを提供できると思います。
ですが、これが誰でもできてしまうと、人によっては営業だけうまく、質が全く伴わない案内でお金だけ得る人も出てくる可能性があります。
せっかく訪日してくれた外国の人にマイナスの思い出とイメージだけを作ってしまいます。

悪用する人には厳しい罰則、ドバイや韓国のように観光に特化した観光警察等も作る、特別な監視制度を作る等、何かしらの形で対応する必要性もでてくると思います。

個人的には、無資格者でも有償で案内をする場合には、ガイドをする上で最低限のことを学んだり、講座等に参加することを必須にするなどした方が良いとも思います。
これは正直無資格者に限らず、有資格者でも数年ごとに実施した方が良いと思います。

と思っていたら、通訳案内士は5年ごとに登録研修期間研修という研修を受講することが義務付けられるようになったそうです。
この研修を受講しなかった場合には、資格の登録を取消されることもあると国土交通省官公庁のウェブサイトに記載されていました。

今後ますます訪日する人は増えるので、有償無償、資格の有無を問わず、満足する案内をできる限り多くの人に提供していく必要があると思います。




まとめ

観光案内だけでなく、宿泊ではAirbnb、タクシーにはUber等、いろいろなところで規制緩和がされてきました。
他の業界でも、今後このような規制緩和はどんどん進んでいくと思います。
今まで有料級だったものが、次の日には無料になる、これは今の時代の流れだと思います。

個人的には個としてではなく、総体として世の中が少しでも良い方向に向かい、全体として幸福になっていくのならば良いことだと思っています。

今までが、物そのものに価値を置く時代だったとしたら、これからは見えない部分に価値がおかれる時代だと思います。
そこを提供できるかどうかが有料、ここでいったら資格と無資格の差だと思います。

いずれにしても、せっかく誰もが参加できるようになったのならば、ぜひその語学力を活かして、来日される方々にまた来たいと思ってもらえるような案内をしていいきたいですね!
あなたの魅力をアウトプットしてください!!