東京オリンピック2020のボランティアがブラックと言われるのはなぜ?何が問題?

問題について考えるビジネスマン(東京オリンピックの問題点イメージ)
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2020年の東京オリンピックまでもう2年を切りましたね。

英語を学んでいる方は実際の場で活かすチャンス!

自分自身もオリンピックのボランティアには関心があったので、なんの気なしにオリンピック、ボランティア、と打ち込んで調べてみました。
すると、目に飛び込んできたタイトルが、ボランティア搾取、ブラック、等々。

正直、えっ、どういうこと?

とあまり詳しい情報を知らなかった自分はかなり驚いてしまいました。

その後、実際のボランティアの条件等も調べてみて、そ~ゆ~ことでか~、と分かったわけですが。

ここではなぜオリンピックのボランティアがブラック、搾取等と批判・問題視されているのか理由を掘り下げていきたいと思います。



完全無償のボランティアが問題

問題点を指し示すビジネスマン

ボランティアは完全無償である。

これがやりがい搾取・ブラックと言われる一番の由縁です。

自分も何も考えずにボランティア楽しそうだし、時間がある時だけ参加できれば良いな、と思っていたのですが、実際の募集要項を見て、そんな考えはすぐに消え去りました。

下記大会ボランティアの条件含む詳細をご覧ください。

大会ボランティア

 

活動期間
10日以上の活動を基本とする(それ以外に事前の説明会と研修と合計2回の参加が必須)

 

活動時間
1日8時間程度(休憩・待機時間を含む)

 

応募できる人
2002年4月1日以前に生まれた人
日本国籍又は日本に滞在する在留資格を有する人

 

支給される物
飲食(1日1回が原則)
ユニフォーム(シャツ、ジャケット、パンツ、キャップ、シューズ、バッグ等)
一部交通費
ボランティア活動向けの保険

 

募集人数
80,000人

大会ボランティアに参加する条件は1日8時間、最低10日以上働けることです。

これはけっこう長時間・長期間ですね。

この大会のボランティアが1日2~3時間、最低2日、等の条件だったら、ここまでブラックだ搾取だと、非難されることもなかったと思います。
いえ、そもそもそれ以前にエンブレムの問題や国立競技場建設の問題等、様々な疑惑が既に生まれてしまっているので、それらも大きな要因かもしれませんが。

交通費負担は一部のみ宿泊費に関しては全額自己負担です
自分もそうですが、いや、もうそれ短期のアルバイト・仕事では?という印象を受けた人は多いと思います。

あなたの時間と奉仕を“大きく”要求しますが、お金は一部の交通費以外には一切お支払いすることはありません。

この部分が大きな批判を招いているのだと感じます。

専門的なプロが行うような仕事まで無償

握手(プロの通訳者イメージ)

もう1つ問題となっているのが、プロが普段お金をもらって行うような仕事も無償のボランティア活動の中に入っているからです。

ボランティアの仕事内容は、会場内での案内やチケットのチェック等、深い専門技術が必要のない仕事もあれば、専門スキルが必要な職種もあります。

移動サポートのボランティア業務は普通自動車運転免許が必要です。
要はタクシーの役割で、実際のタクシードライバーの方はもちろんお給料をもらって働いています。
ですが、オリンピックのボランティアでは“無償”です。
もちろんプロのタクシードライバーの方とは、業務内容の幅・知識のレベル・スキルに圧倒的な差があるかもしれません。

それでも、一般の人が普通自動車運転免許を取るまでには相当な時間とお金を費やします。
それが、このボランティアの中では無償とされるのです。

それ以外にもアテンドといった通訳業務などもあります。
選手のインタビューの通訳・補佐など、かなりの英語力が必要となります、だからこそプロの通訳という職業が存在するのです。
この通訳業務もオリンピックでは無償です。

なんでもかんでもお金をかけず無償で済ませてしまおうといった姿勢を感じざるをえない状況を作り出してしまっています。

これも大きな批判の対象となっています。

学生に狙いを定めたやりがいの搾取

大学の教室(学生の搾取イメージ)

なぜ突然学生?

と思うかもしれません。
公式ホームページでも、一言も学生だけ募集等言及しておりません。

大学生が対象

ですが、実質主として学生を募集と言っているのと変わらないかもしれません。

というのも参加条件として、1日8時間程度、10日以上という時間と期間が設定されているからです。

仕事を持っている人が10日以上連続で休暇を取ることは、一部の人を除いてかなり難しいです。
実質仕事を持っている大半の人にとって、不可能に近いです。

自然と参加することのできる人は、夏休みという自由な時間を持つことのできる学生に絞られてきます。

シニアの方も当てはまりますが、開催されるのは真夏です。
熱中症で倒れる確率は若い人に比べ、65歳以上のシニアの方は圧倒的に高いです。
真夏に8時間近くの長時間の労働を最低10日以上、身体を壊しかねません。

時間もあるし、体力もある、やりがい・おもてなし、等純粋な目的で参加したいという大学生は多いと思います。
そこにつけこんでいるとしてやりがいの搾取と言われているのです。

実際にはその後の就職活動のアピール材料として参加する学生もいると思います。

中学生・高校生が対象

また、学生は大学生だけではありません。
現在、組織委員会は中学生・高校生向けのボランティア活動も検討しています。

本来は参加条件が、2002年4月1日以前に生まれた人、なので中学生・高校生は自然と省かれるわけですが、別枠としての参加が検討されているということです。

これが実現すれば、大学生と似たような状況が起こるかもしれませんね。
中学生・高校生もより良い高校・大学に進学するために、成績は重要です。

ボランティアは内申点・推薦のアピール材料となります。

また、部活の顧問が参加すると決めてしまえば、実質個人の拒否権はないようなものです。
サッカー部や野球部等の運動部に入っていた人なら分かると思います、先輩や顧問が決めたことに、実質拒否権はないのです、少なくとも自分の中・高時代はどこもそうでした、そしてそこは今も引き継がれていることと思います。

学生が実質的に搾取される、学徒動員だと揶揄され、批判の的となっています。

4000億円のスポンサー収入があるのにボランティアは無償

スポンサー収入イメージ

オリンピックは世界中から注目されます、つまり、大きな広告の場でもあるということです。

企業にとってはブランド名を認知してもらう上で、オリンピックは恰好のPRの場ともなるのです。

現在東京オリンピックにはスポンサー・参加企業から4000億円もの資金が集まっています。
まだオリンピック開催まで約2年あるので、スポンサーも資金ももっと集まります。

そのあらゆる面で間を取り持っているのは“電通”です。
招致活動やロゴの選定にスポンサーの獲得等あらゆる面で電通が介在しています。
電通ももちろんビジネスですのでマージンとして相当な利益を既に得ています。

4000億円ものお金があるのに、ボランティアには経費として1部の電車賃を除いて一切支払いはしない。

ここも批判の対象となっています。

個人的意見

マルかバツか(個人的意見イメージ)

ここまで、東京オリンピックのボランティアに関して、その批判の数々を書きましたが。個人的な意見を問われると、正直どちらでも良いのかなと思います。

確かに自分自身もその条件には驚きましたが、あくまで条件が提示されているだけで、参加を強制されているわけではないからです。
学生の参加に関しては、結局半ば強制と変わらない状態になりかねないので、なんとも言えないところではありますが。

無給で1日8時間を10日以上、それでもやってみたいという人は全然やって良いと思いますし、やりたくない人はそのままやらなくてよいと思います。

国民の大半が批判的だったら、そもそもボランティアの人数が集まらないので、国も有償のボランティアに変更する可能性もあります。
むしろ大半が海外からのボランティアになる可能性だってあります。
リオ五輪の時には応募者24万人のうち約4割は海外からのボランティアだったそうです。

今回募集人数は8万人ですが、もしかしたら海外のボランティアの方の割合が圧倒的に高くなるのかもしれません。

ただ、車の運転や通訳等の業務は、やはりちゃんとお金を支払って資格保有者やプロ、またはプロに近いレベルの人を雇うべきだと感じます。
人を乗せるということは人命が関わりますし、通訳も万一誤訳でもすれば、世界中に一瞬で広まってしまいます。

お金をかけるところにはやはりしっかりとお金をかけて、それ相応の人を雇って働いてもらうのが良いと思います。




まとめ

ボランティアの募集はいよいよ来月9月から始まります。
2018年の9月中旬から12月上旬まで募集するようです。

自分も募集要項を読むまではけっこう参加する気満々でした。

ですが、今は、正直かなり微妙です。
なにせ拘束時間が長い。
お金どうこうより、むしろ時間の問題です。

これもっと一日の作業時間や関わる最低日数減らしたりすれば、もっとたくさんの人が関われるし、ここまで批判されることもなかったと思うのですが。

英語を使ってそれでもやっぱりボランティアがしたい、そんな方には下記記事で実際に東京オリンピックのボランティアで必要となる英語力の目安等についてもまとめてみました。

2020東京オリンピックのボランティアに必要な英語力はどれぐらい?

開催まで2年を切った東京オリンピック2020、先月はマスコットのミライトワとソメイティも発表されました。

今後の動向が気になるところです。